2008年11月22日土曜日

野鳥と遊ぶ[追]:ポッサム、あらわる

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● ポッサム:パソコン拡大
 <クリックすると大きくなります>


 野鳥と遊ぶ[追]:ポッサム、あらわる
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 いつものように鳥にエサをやっていた。

 突如、後ろにいたマグパイが甲高く騒ぎ始めた。
 なんだ、振り返ってみる。
 何か小動物がいる。
 それをマグパイが大声で威嚇している。










● ポッサムあらわる


 尻尾がふさふさと長い。
 リスか。
 南の島にリスはいただろうか。
 あれは寒いところのものだ。
 ということは、ポッサムか。

 いや、ポッサムを見たのははじめてです。

 以前に道路際の木の下で数人が見上げている風景に出会ったことがある。
 これはと思い、すぐに車をとめてそのなかに加わった。
 やはりコアラであった。
 最初の太い枝の分かれるところに座っていた。

 コアラから比べるとポッサムは人家を住まいにすることがあるというので、結構身近な動物のように思っていたが、見るのははじめてのことである。
 でも、コレ、夜光動物と聞いている。
 夕方といっても5時前、周囲はひじょうに明るい。
 それなのになぜ、庭を徘徊している。






● ポッサムあらわる:先の写真を拡大

 幸運なことに、先日購入した望遠つきのコンパクトデジカメを持っていた。
 早速、パチパチとやった。
 私がそばに寄ったせいか、近くの太い木にのそのそと登っていった。






● 木に登る

 しかし、この木はポッサムにとって条件が悪い。
 見て分かるように、表面ツルツル、枝がまるでない。

 どうする。
 しばらく考えて(本当に考えていたかは?)、パッと飛んだ。
 ポッサムは腕と胴の間にヒダがあり、これが傘の役割をして飛べるのです。
 「飛べる」といっても、降りるさいの衝撃を和らげるだけで、鳥のように上方向には飛べません。
 通常の動物なら猫のように前足で衝撃を受けるように「飛び降りる」となるのですが、ポッサムはフッワという感じで後ろ足で着地する形で、飛び降ります。

 逃がしてなるものか、と追いかけます。
 すぐに今度はテラス前の木に登りはじめました。














● テラス前の木に登る

 写真の位置で分かると思いますが、目の前をノソノソと登っいきます。
 ということは、その気になれば捕まえられます。
 でも手出しはしませんでした。

 というのは写真で見るとおり、指に爪が生えています。
 こいつに引っかかれると、傷口がかぎ裂きになり、縫合ができないのです。
 ですから、「ポッサムには手を出すな」、といわれたことがあり、、そのことが脳裏にあったため、捕まえるのはやめて、ただ写真を撮るだけにしました。

 同じような小動物でもリスは実にすばやい動きをする。
 おそらく、リスは身を守る術をそのスピードに依存しているのに対して、ポッサムは爪にみる攻撃力によっているのではないかと思われます。
 だから、なまじの動物は、その反撃を恐れてポッサムには手を出さない。

 友人の話では隣の屋根裏にポッサムが巣をつくっていたという。
 それが夜になると活動しはじめ、塀の上で飼い猫と威嚇合戦をやるという。
 それがなんともすさまじい、と言っていました。
 つまり、小さな動物にもかかわらず、猫を相手にしてもヒケをとらないほど強力な武器を備えているということでしょう。

 指は5本あります。
 しかし、小指は腕の延長と接合した形になっています。
 ここからヒダがあり、広がって落下傘になるわけです。
 手首から広がるわけではなく小指の先端から広がります。
 よって、広がる面積も大きく、受ける風の抵抗も大きくなるというわけです。
 小指の先端から腰あたりにかけての皮膚が広がっているのが写真でも理解できると思います。




● ツタの反対側に回り込んだが

 私を嫌がったのかツタの反対側に周り込みました。
 ところが、運悪くそちら側の枝にコカツーがいました。
 ビックリしたのか、このコカツーがあの悪声で鳴き叫び、羽をバタバタさせる。
 威嚇なのか、驚きなのかわからないが、その声、実にすさまじい。




● 闖入者に怒るコカツー

 しばらくし、おちついてからコカツーが身を乗り出して'枝の間から、ポッサムの状態を覗き込む。


● ポッサムの様子をみるコカツー
 クリックして大きくしてみてください。ポッサムの姿が見えます。


 ポッサムはしっかり、木にはりついたまま。
 ちょっと考えてみると、確かにコカツーが夜光性のポッサムと鉢合わせするというのは珍しいことで、「いったい、コイツはなんだ」ということになっても不思議はない。

 コカツーは気分を害したのか枝の先端の方に移動していきました。
 次にきたのはレインボー・ロリキート。
 これは平気の平左。


● 同じくクリックして大きくすると、ポッサムの姿が見えます。



● 右側の尻尾はロリキートです。
 ポッサムはこのままの位置でズーッと張り付いていました。


 さらに、リトル・コレーラがきた。
 が、さすがダンプ系。
 ポッサムをまったく無視。



● 最初の枝の分かれ目あたりまでしか登りません。

 ポッサムというのは家の中に巣をつくるという性格からして、あまり過度の警戒心はないように思えます。
 高さもせいぜい3メートル以上は上らないようです。
 また、この木のでは枝が大きく分かれるところあたりより上へはいっていません。
 おそらく、飛んで逃げられる高さまでしかのぼらないのではないでしょうか。

 同じ動作の鈍いコアラは高いほうにどんどん上っていく。
 おそらく高さという障壁が安全性を約束しているのでしょう。
 それに対してポッサムは自分の防御能力に対する自信から、高さは不要なのかもしれません。

 ちょっと家に入って戻ってきたら、残念なことにもういなくなっていた。
 10分ほどのポッサム劇でした。
 地上でマグパイに、そして人間に、木の上ではコカツーに。
 ちょっと御難なポッサムでした、


 ポッサムは日本語Wikipediaにも載っています。

 
ポッサム (Possum) はオーストラリア区オーストラリアニューギニア島スラウェシ島に生息する小~中型の上動物。
 分類学的には有袋類カンガルー目(双門歯目)クスクス亜目の複数のにまたがっており、厳密な定義はない。

 名称はアメリカ大陸に住むオポッサムアルゴンキン語に由来)から来ている。

 これらはしばしば混同され、オーストラリアではポッサムのことをオポッサムということがあり、北米ではキタオポッサムのことをポッサムということがある。しかし、オポッサムは分類学的にはオポッサム目オポッサム科で、同じ有袋類であるという以上には近縁ではない。

 ポッサムは、夜行性で日中は木の洞などに作った巣に隠れている。

 単独か、つがいとその子供で生活する。生態系的には北半球におけるリスに類似するとされる。

 後肢の指は親指と他の指が対向し木の枝をつかむことが出来る。

 また、人差し指と中指はくっついていて一本の指のように見える。

 雌雄の差が少なく外見からは区別が難しい。



 上記に「人差し指と中指はくっついていて一本の指のように見える」とありますが、ここではそのようには見えず、間違いなく別れていると思われますが。





【追記:珍しいポッサムのお話  「25today」より】

★ 絶滅種のポッサムを目撃
http://www.25today.com/news/2009/03/post_3275.php

QLD州最北部の森林で
 3月27日、QLD州最北部ケープ・ヨークのデイントゥリー国立公園内で絶滅したと思われていたポッサムの種が生存していることが確認された。
 目撃した研究者の語るところによると、同州最北部デイントゥリー地域にわずかな個体数が棲息していたbrown lemuroid ringtail possum(チャイロトビリングテールポッサム)は、2005年の熱波で絶滅したと思われていた。しかし、これまでに個体3頭が目撃されており、わずか に生き残っていることが明らかになった。

 ただし、かつてはトビリングテールポッサムの40%を占めていたwhite lemuroid ringtail possum(シロイロトビリングテールポッサム)はまだ1頭も目撃されていない。それでも、ジェームズ・クック大学のスティーブ・ウィリアムズ助教授 は、「近縁種のチャイロが生き延びて、シロイロだけが生き延びられないという理由は何もない」と語り、シロイロがチャイロと共に生き残っていることに希望 をかけている。

 トビリングテールポッサムは、QLD州デイントゥリー地域内カーバイン・テーブルランドとケアンズ西方のアサートン・テーブルランドでしか目撃されておらず、またシロイロ種はアサートン・テーブルランドでは極端に少なかった。
 ウィリアムズ助教授は、「デイントゥリーのポッサムは2005年の熱波以来これまで目撃されなかったため、気候変動で絶滅した初めての動物種とみなされ ていた。この種は、27度を超える日数が延びると持ちこたえられない。過去50年間で27度を超える日数が増えており、2005年には27日間連続で27 度を超えた。そのため、この種のポッサムは絶滅したと思われていた。どうやって生き延びたのか分からないが、今後熱波が来れば絶滅する可能性もある」と説 明している。(AAP)

● brown lemuroid ringtail possum



● white lemuroid ringtail possum




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