2008年11月23日日曜日

野鳥と遊ぶ[追]:足の悪い鳥たち

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 ● マイナーの死体?


 野鳥と遊ぶ[追]:足の悪い鳥たち
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 日本ではよほどでない限りみかけないが、ここでは頻繁に骨折した若者を見かける。
 松葉杖にすがって歩いている。
 日本ではなんとなく眼をそむけてしまうが、ここでは青少年のシンボルである。
 原因はトランポリン。
 子どものいる家では、だいたい庭においてある。

 それだけの敷地の広さがあるということ。
 でもこれ、相当に危険。
 2,3m飛び上がってうまくマットの中央に降りられればいいが、慣れないと縁に着身し、腕や足が周囲の鉄枠にぶつかる。
 トンと軽くぶつかるだけで骨折する。
 あの不安定さはタダモノではない。
 あるいはトランポリンからおりようとすと、1mくらいの高さがあり、かつ揺れて安定しない。
 ためにバランスを失いうまく着地できない。
 すっ転んで足を詰まらせ骨折となる。
 あるいは手を突いて骨折にいたる。

 我が家にも松葉杖がある。
 以前に知人が足を折って使ったものであるが、そのまま置いていったもの。
 今ではほこりをかぶっているが。


 空飛ぶ鳥にも骨折が多い。
 なぜだろう。
 もちろん、鳥はトランポリンなどしない。

 「コカツー」に書いたが、足首が曲がっている鳥がいた。
 そこから折れており、足先は効かず枝などをつかむことができない。
 でも足首が使えて体重を若干でも支えることができたので、動きに不自由はなかった。
 だが、ツガイを形成することはなかった。


 悲劇的なのは下のウッド・ダック。
 ようく見てみるとわかりますが、右足がない。

 
 ● 左足一本のウッドダック

 ウッドダックは鳥のなかでもよく歩く鳥。
 プラバーと双璧をなす。
 どちらも水鳥。

 ウッドダックはヒナがかえると、ファミリーで長距離のお散歩へ出る。
 雑木林から道路まで100m、それから道路向かいの家に入っていき、そここらあちらこちらと家族で散策を楽しんで、また雑木林を横切って川へ戻っていく。
 日に歩く距離は有に1キロを超えるはずである。

 ヒナがいなくても、つがいでブラブラと歩いている。
 車から撮れる写真は、歩道を気持ちよく歩いているダックである。


 この片足鳥、ピョンピョン跳ねて歩く。
 この体力的負担は大きいだろう。
 よって、一羽でうずくまって時を過ごす時間が長い。
 もちろん飛べるが。

 もともとは6羽のヒヨコの1羽であった。
 このときはちゃんと足があり、皆と一緒に遠足を楽しんでいた。
 もし、ヒヨコのとき足が悪いと仲間にはついていけない。
 ウッドダックは俗称「子捨て鳥」
 親は不運な子どもをかまってはいない。
 それより先に、何かあればヒヨコを捨てて、自らが逃げるようにプログラミングされている。
 それを補うように、たくさんの子どもを産む。

 親鳥を含めて8羽のファミリー散歩を何回も見かけた。
 ヒヨコが大きくなり、体格は親鳥と同じになり、飛べるようになったが8羽ファミリーの散歩はしばらく続いた。
 が、しばらくして数が一つ減った。
 ネコにやられたかな、と思ったがちがう。
 一羽だけ、散歩についていけずに庭のあちこちをウロウロしたり、うずくまりはじめた。
 そして戻ってきたファミリーにピョンピョンついていき、川に戻っていく。
 だが、ダックの泳ぎは水かき足を動かすことによって進む。
 とすれば、水のなかでもファミリーに遅れがちになる。
 ファミリーは待ってはくれない。
 陸とおなじように、おいてけぼりになる。

 それも最近みかけなくなった。
 片足ではエサを採るのも不自由だろう。
 おそらくは淘汰されて、もう生きてはいないだろう。
 かわいそう、といってもどうなるものでもない。
 それが優しい自然の法則。
 強いものだけを残していく。
 でないと種の存亡にかかわる大事になる。

 ところで、なんで右足がなくなったのだろう。
 折れたなら折れた状態で付いているだろうと思うのだが。
 ということは、何かに食いちぎられたのか。
 何に。
 カモの足を食いちぎる生き物などいるだろうか。


 下はトップの写真を拡大したものです。
 死体らしきマイナーは口に何かくわえています。


 ● マイナーの死体?、拡大図

 死体ではありません。
 足が悪く動けないのです。
 それで右側が親鳥で、エサを運んでやったところです。

 別の写真を見てみましょう。

 
 ● 起きたマイナー

 見る限り、両足骨折で尻でおき、折れた足の付け根で支えているような感じです。
 これでは自分でエサを採るというわけにはいかないでしょう。


 ● 親鳥がエサを運んでやる

 この写真だけならいい。
 ほのぼのとした親子愛ですむ。


 ● 「エサ」くれ




 ● 親鳥がまたエサを運ぶ


 ● 「まだ、足らん」


 ● 「うるさいネ」といいながら親鳥はせっせと


 ● 親鳥は大変です


 だが、自然はさほど甘くない。
 こんな状態ですから、外敵はいる。
 マグパイがきてときどきつっつく。
 羽はあり、もう飛べますから逃げる。
 逃げたところで、枝に止まれるわけでもなし、またどこかの雑草の上に転がるしかないのです。
 自分でエサがとれない以上、待っているのは死しかありません。


 

 ● 動けぬマイナー
 
 おそらく、あと数日とは生き延びられなかったのではないでしょうか。
 適者生存、弱肉強食の自然の習い。


 まれに雑木林で鳥の死体を見かけることがあります。
 あとで埋めてやろうと思って、用事をすませて小一時間していってみると、きれいに消えています。
 カラスやマグパイ、アイビスあるいは他の鳥のエサになってしまったのでしょう。


 ところで、疑問に思うのは、なぜ両足骨折してしまったかである。
 飛べないヒヨコが巣から落ちるということは、度々ある。
 これなら骨折もするだろう。
 でも巣に戻れない以上、間違いなく死が待っている。

 しかし、飛べるまで成長した子鳥がどうして、骨折するのだろう。
 それも両足一度に。
 不思議なこと。

 鳥は飛べる、という先入観で見ているせいか、足の骨折などというのは考えられないことです。
 犬猫は自然治癒の力が備わっており、骨折ぐらいはしばらくすると直ってしまいます。
 でないと、四足の動物は生きていけない。

 鳥のメインは羽根であって足ではない。
 おそらく自然治癒の能力は与えられていないのではないだろうか。
 これは素人の勝手な想像ですが。
 とすれば、骨折のまますごすか、死をまつだけかになる。

 でも、骨折した鳥を度々見かけるということは、なんとも不可思議なことである。
 鳥とは、さほどに骨折しやすい生物なのであろうか。


 「野鳥と遊ぶ」にしては、ちょっと厳しい内容になってしまいました。



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